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ディスクロージャーとは【投資家の必読書】ディスクロージャー誌の役割と見方

2020.11.21

ディスクロージャー誌は、投資先や預金先を検討する際の必読書

預金は決してベストな資産運用ではなく、物価上昇率と金利を考慮に入れれば、逆に得策とは言えない手法です。例えば物価上昇率が2%、金利が1%だとします。この時、100万円の物を購入していれば、1年後には物価上昇率が2%なので102万円の価値になっていますが、預金すると金利が1%なので101万円の価値にしかならず、結果、資産が目減りしていることになります。

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そもそも、預金は100%安全なものではありません。というのも、いかに銀行と言えど、破綻する可能性はゼロではありませんし、それに、もし銀行が破綻してペイオフが発動すれば、預金は1,000万円までしか保証されません。実際、戦後の日本でもペイオフが発動され、預金が戻ってこなかったケースは存在します。

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したがって、私たちは銀行の健全さを把握しておく必要があるのですが、どのようすれば私たちはその情報を入手することができるのでしょう。

その答えが、今回の記事のテーマ「ディスクロージャー」です。
今回は銀行の健全性や収益性を知ることのできる「ディスクロージャー誌」について解説します。

 

ディスクロージャーとは

 

ディスクロージャーの語源

ディスクロージャーは英語の「disclosure;情報の開示」がもともとの意味です。

dis-(打ち消し)と close(「閉じる」)が結びついた動詞 disclose(「閉じないこと」) に由来し、それが転じて「情報を隠さないこと」を意味するようになりました。

ちなみに、この「ディスクロージャー」という単語がビジネスシーンで使われるようになったのは、ITが生まれて以降です。本来はIT関係の企業から生まれたセキュリティ用語で、パソコンのソフトウエアやシステムなどに不具合があった際、すぐユーザーに情報開示することを指していたのが始まりです。

この章では、そんな「ディスクロージャー」の言葉の意味について解説します

 

ディスクロージャーとは

現在では、ディスクロージャーは企業の社会的責任が強調されてきている関係で、一般投資家や株主、債権者などに対して、経営内容などの情報を開示することとして使われています。

特に資本市場においては、投資家の判断材料に使ってもらうための自社の経営実態を知らせることが目的であり、大きく2つ①任意のディスクロージャー と ②制度上のディスクロージャー に大別されます。

いずれも国際化や資金調達手段の多様化が進む一方、投資家の自己責任原則を求める声が高まっていることもあって、企業のIR活動の一環としてディスクロージャーの重要性はますます高まってきている状況です。

①任意のディスクロージャー

任意のディスクロージャーは、一般にはIR(Investors Relations)といわれるものを指しますが、企業が投資家に対してPRするような情報開示も含みます。基本的には公正な情報提供であれば規制はなく、企業はその方法も内容も決定することができます。

具体的な内容としては、決算発表説明会やアナリスト説明会、月次データ開示、ウエブサイトでの説明などがあり、その特徴は企業による投資家へのPRが目的です。

②制度上のディスクロージャー

制度上のディスクロージャーは任意のディスクロージャーとは異なり、法律・規則による規制および内容・時期に決まりがあります。

具体的には、毎年の有価証券報告書の開示、決算短信の発表、影響の大きい出来事の適時プレスリリースなどが制度上のディスクロージャーにあたります。

主な関連法規としては、証券取引法、証券取引所規則、商法があり、その特徴は投資家保護の目的です。

 

金融機関のディスクロージャー

一般の民間企業のディスクロージャーと一線隠すのが、金融機関におけるディスクロージャーです。この金融機関のディスクロージャーは銀行法・信用金庫法等の法律に基づき、銀行・信用金庫・信用協同組合等の金融機関が対象です。

半期ごとに作成・公開が義務付けられていて、この資料は多くの場合冊子形式として作成されるため、ディスクロージャー誌と呼ばれています。

ディスクロージャー誌を探してみよう

 

銀行のディスクロージャー誌では何がわかる?

ディスクロージャー誌から得られる情報は、銀行が提供する商品やサービスの内容をはじめ、経営方針までもが得られます。

また、銀行のディスクロージャー誌は銀行法の定めにより、貸借対照表、損益計算書などの決算書類、自己資本の状況や不良債権の状況などに関する情報を掲載することが義務づけられていますから、収益力や健全性など、財務内容までも知ることが可能です。

銀行が銀行法施行規則によりディスクロージャー誌に掲載しなければならない開示項目は、次の通りです。

【 銀行法で開示が義務づけられている項目(事業年度)の例 】

経営の組織
営業所の名称および所在地
銀行の主要な業務の内容
直近の事業年度における営業の概況
直近の5事業年度における次の事項
経常利益または経常損失
当期利益または当期損失
資本金
預金残高および貸出金残高
自己資本比率 など
直近の2事業年度における次の事項
貸借対照表、損益計算書など
業務粗利益および業務粗利益率
資金運用収支
利ざや
いわゆる不良債権の残高
貸倒引当金の残高
自己資本の充実の状況 など
リスク管理の体制
法令遵守の体制

 

銀行のディスクロージャー誌はいつ見られる?

銀行の営業所(本支店)で最新の3月末、および9月末の経営内容を掲載したディスクロージャー誌をみることができます。

 

銀行のディスクロージャー誌はどこで見られる?

銀行の各営業所に備え付けられています。
なお、各銀行のウェブサイト上でも、各営業所に設置されているディスクロージャー誌と同じものを確認することができます。

 

ディスクロージャー誌で見るべき3つのポイント

銀行のディスクロージャー誌では、「自己資本比率」「不良債権残高」「格付け」の3つに注目することで、一定レベルの健全性が把握できます。したがって、その3つのポイントは必ずおさえましょう。

 

①自己資本比率

自己資本比率とは、貸借対照表で見る会社の安全性を読み取る指標です。負債と純資産を合算した総資本を、純資産で割ったものが自己資本比率です。この自己資本比率は、信用リスク・アセット(資産額を信用リスクの度合いに応じて再評価した額)などに対し、資本金などの自己資本がどれくらいあるかを示します。

自己資本が大幅に減少すると、万一の事態に備えた銀行の体力が弱まることになり、経営にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、この自己資本比率は銀行の健全性を表す指標として広く認識されています。

 

②不良債権残高

不良債権の残高が大きければ大きいほど、それを処理するための費用や損失は当然大きくなります。また、仮にそれを収益でカバーできなければ自己資本を取り崩して処理することもありえますから、不良債権の残高に関する情報はとても重要です。

なお、不良債権比率(貸出金の規模に対する不良債権残高の割合。金融再生法開示債権残高/総与信残高)への着目も、銀行の健全性を把握する上では非常に重要な数値です。

 

③格付け

格付けとは、資金調達のために債券等を発行する会社が負う金融債務の履行能力および個々の債務(債券やローン等)の支払いの確実性を表示したものです。

債務履行能力が高い順にAAA(トリプルA)、AA(ダブルA)、A(シングルA)、BBB、BB、B、CCC、CC、C、D といった表示で表されます。

 

まとめ

銀行も破綻するこの時代では、銀行の健全性をいかに把握するかが重要です。したがって、銀行のディスクロージャー誌の閲覧は非常に重要な情報収集と言えます。

が、ディスクロージャー誌を読むことは、預金先銀行の経営状況を把握することだけが目的ではありません。

先述した通り、ディスクロージャー誌は一般の民間企業も発刊しており、その見方がわかれば、投資する際に非常に有益な情報となります。

銀行のディスクロージャー誌は比較的入手が容易です。
ですから、まずはそれで目をならしておきましょう。

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