レポート

最近よく見かけるREITとは【超入門】海外REITとJ-REIT

2020.12.22

REITは、不動産に投資する投資信託

REITはアメリカで生まれた仕組みで、「Real Estate Investment Trust」の略です。

多くの投資家から集めた資金により、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入。その賃貸料収入や売買益を投資家に分配する投資商品です。投資信託のような形式で不動産に投資を行いますが、法律上は投資信託の仲間です。

日本では頭にJAPANの「J」をつけ、「J-REIT」と呼ばれています。先述の通り、J-REITは投資信託の仲間ですが、証券取引所に上場されています。初上場は2001年9月。

今回はそんな「REIT」についてわかりやすく解説します。

 

REIT必須用語「REIT」「ビークル」「利回り」「NAV倍率」

 

REIT

REIT(リート)とは、投資家から集めた資金で不動産への投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や売買益を原資として投資家に配当する商品です。

「不動産投資信託」とも呼ばれていて、投資家はREITを通じて間接的に様々な不動産のオーナーになり、不動産のプロによる運用の成果を享受することができます。

多くのREITは株式と同様に証券取引所に上場されていて、証券会社を通じて売買が可能です。

 

ビークル

ビークルとは、資産の証券化などに際して、資産と投資家とを結ぶ機能を担う組織体のことです。資産から生じる利益を投資家に運ぶことから、乗り物や媒体を意味する「Vehicle(ビークル)」が語源となっています。

あるいは、実物資産ではなく資産の価値を保有することに着目して、「器(うつわ)」と呼ばれています。

 

利回り

REITの分配金の投資口価格に対する割合。REITの割安度、割高度を計る目安として使われている単語です。

 

NAV倍率

NAVは「Net Asset Value」の頭文字をとったもので、REITが保有する物件等の資産から負債を差し引いた純資産価額を意味します。

そして、REITの投資口価格を1口当たりのNAVで割ったものが「NAV倍率」です。REITの資産価値に対する投資口価格の割安度、割高度を計る目安として利用されていて、事業会社における「株価純資産倍率」(PBR)とほぼ同様の意味を持ちます。

 

二重課税の排除の仕組み

REITにおいては、アメリカではビークル自体が投資判断を行い、日本ではビークル自身は投資判断を行わず外部に委託するのが一般ですが、いずれにせよ、ビーグルの主要な機能は、リスクを資産の範囲に限定する「倒産隔離機能」、および、生じる利益に対する二重課税を回避することです。

なお、REITでは通常、二重課税が排除される仕組みになっていて、その方法は「ペイ・スルー課税方式」と「パス・スルー課税方式」の2つがあります。

 

ペイ・スルー課税方式

ペイ・スルー方式とは、ほとんどの利益を配当に回して課税対象から外れることです。

投資ビークルが稼いだ収益の90%以上を配当に回せば、課税対象は実質的になくなります(90%ルール)。日本においては、上場しているJ-REITの大半が、利益の100%を配当に回していると言われています。

 

パス・スルー課税方式

パス・スルー方式では、SPC(特別目的会社)と「匿名組合」を組み合わせて投資ビークルが課税対象にならない仕組みを作ります

匿名組合は「法人」ではありません。法人ではない匿名組合の事業には、課税対象となる利益は発生しません。利益がなければ税金が発生する余地はないので課税が回避できます。

 

日本のREIT「J-REIT」

 

JREITの法的側面

J-REITは「投資信託及び投資法人に関する法律」に基づいて組成され、課税はペイ・スルー課税です。J-REITの配当可能利益の90%超を投資家に分配することと、決算期末において3人以下の投資家の取得が発行済み投資口の50%未満にとどまることを条件に、その分配に充てる所得の損金算入を認めるというものです。

 

J-REITの価格

J-REITは、「投資証券」という一般企業の株式に相当する証券を証券取引所に上場しています。その投資証券の価格は、投資家の需要と供給によって決定されますが、その価格の決まり方や取引の仕方は上場株式と同じです。

 

J-REITの分配金

J-REITの決算が行われる際に投資家に対して支払われるお金が「分配金」で、株式会社で言う「配当金」に相当します。

たいていのJ-REITは、年に2回決算を行いますから、この場合、運用が順調なら年に2回の分配金を受け取ることができます(年1回決算のJ-REITなら年に1回の分配金)。

 

海外REIT

 

海外と日本の違い

REITは1960年に米国で初めて導入され、世界各国に普及しています。制度は国によって異なりますが、投資のほとんどを投資家に分配する金融商品である点は共通です。

ただ、日本の場合(J-REITの場合)、法令により比較的安定した賃貸事業しか行えません。しかし、海外REITにはそうした規制はないので、比較的リスクが高い物件開発を行うREITも存在します。

 

分散投資効果が高い海外REIT

REITは、オフィスや商業施設、住宅など多種多様な物件を保有しているため、世界中の用途物件に分散投資することが可能です。

日本のJ-REITでは、およそオフィス4割、商業施設2割、住宅1割5分とオフィスに偏っていますが、海外REITはまるで違います。海外REITでは、日本ではおよそ40%も占めるオフィスが15%程度。最も多いのが商業施設で20%ほど。さらに日本と異なるのは、ヘルスケア施設の割合が高い点です。

ヘルスケア施設は、シニア住宅や医療用ビル、高度看護施設などの施設賃貸借契約ですから、長期で安定的な収益が期待できるのが特徴です。

また、近年ではデータセンターREITも伸びてきています。データセンターREITとは、ネットワーク・サーバーや通信機器などの設備に特化したデータセンターを主に保有するREITです。IoTやAI技術の発展により、大容量のデータに対応できるITシステムへの需要が高まっています。そのため、データセンターREITの成長は期待されています。

 

まとめ

REITは「不動産投資信託」とも呼ばれ、投資家から集めた資金で不動産への投資を行い、そこから得られる賃料収入や不動産の売却益を原資として投資家に配当する金融商品です。取引所に上場しているので株式と同じように売買が可能。さらに物件の取得から運営・管理まですべて専門家が行うのが特徴です。

日本のREITがJ-REITと呼ばれ、少額投資の入り口として注目の集めていますが、最近では海外の物件に気軽に投資ができる海外REITに関心を示す方も増えています。

とはいえ、投資には様々な種類があります。

インベスターズビレッジではそれを踏まえ、主に「投資」と「ビジネス」(経営・M&A)に的を絞って取り上げています。また、様々な分野への投資の知識と実際の流れをカリキュラム+テキストに加えて、実践でも学ぶことを大切にしています。

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