2020.08.31
日本人は勤勉です。教育も非常に高いレベルで行われています。しかし、投資と投機とギャンブルの違いは、他の先進国に比べ理解度が低いようです。
投資とは。
投機とは。
ギャンブルとは。
今回はこの3つの違いについて解説します。
ギャンブルとは、チャンスにお金を賭け、勝者が一定の割合の配分を受け取るものです。ただし、ギャンブルには主催者(いわゆる胴元)がいて、場所代等の高額な手数料を取っています。その手数料を引いた分が参加者に還元されるのですが、その還元率は種目によっておおよそ決まっています。
例えば、パチンコ・パチスロの還元率は80~85%。
競馬は70~80%。
競艇・競輪は75%。
宝くじは50%未満です。
つまり、パチンコ・パチスロなら、主催者が掛け金の15~20%をいったん懐に収め、残りの分を参加者で取り合います。
宝くじに至っては還元率は50%未満ですから、掛け金の総額の半分に満たない金額を参加者が取り合う仕組みです。そのため、確率論で考えれば、賭けを続けていくうちに必ず損する計算になります。
このように、胴元が一定の収益金を差し引くギャンブルは、参加者全体の投資額に対して収支はマイナスです。言葉を変えれば、参加者全体で見ればギャンブルは利益より損失が大きくなります。
これを「マイナス・サム」と呼びます。
サムは英語sum(合計)です。
投資額の合計より収支が必ずマイナスになるので「マイナス・サム」です。
投機とは、短期的な値上がりのチャンスに乗じて資金を投じ、短期間で利益(利ざや)を得ようとする行為のことです。
投機の「機」は、機会(チャンス)です。具体的には、偶然や不確実ながらも、当たれば大きい利益を狙うこと。わかりやすく言えば、安いときに買い、高いときに売る取引のことです。
時折、「投機はギャンブルに近い行為」という人もいますが、ギャンブルとの決定的な違いは胴元がいない点です。
例えば、参加者の合計資金が100万円だったとします。この時、ギャンブルでは胴元がいますから、仮に20%の手数料が胴元に入れば、残りの80万円を参加者が取り合います。参加者が出し合った合計資金より、収益のトータルはマイナスなので「マイナス・サム」と言いました。
一方、投機はその時々のチャンスに参加しているメンバー間で出し合った参加費を取り合う行為です。ギャンブルとの違いは、胴元がいないので誰かの利益はほぼ誰かの損失になる「ゼロ・サム」のゲームである点です。
例えば、参加者の合計資金が100万円だとしたら、プラス収益の合計は100万円、マイナスの合計は100万円。つまり儲けた人と損した人を合わせれば、プラスマイナス・ゼロとなるのが特徴です。
投資とは、長期的な視野で資金を事業(ビジネス)に投じることで、将来それ以上の利益になって返ってくることを期待する行為です。
投機との違いは、投機は短期的視野での資金投入に対し、投資は長期的視野での資金投入です。
また、投機はゼロ・サムであるのに対し、投資はプラス・サムと言われています。プラス・サムとは、参加者の投資金額よりもリターンの合計がプラスになっていることです。
例えば、参加者の合計資金が100万円だったとします。世界経済は長期的には右肩上がりの成長を続けることが予測されていて、その成長の果実を得る企業の株を保有していれば、配当や値上がりによる利益が増え続けます。つまり、資金投入時は合計資金が100万円でも、時間が経過すれば110万円になっている可能性があるわけで、参加者が全員儲けることができるのが特徴です。
したがって、投資家は投資の対象とする資産の価値が増えるかどうかを非常に気にしますが、投機家は、投機の対象とする資産の価値が増えるかどうかは気にしません。ここも大きな違いです。
マイナス・サムの具体例としては、まずは競馬やパチンコなどのギャンブルが挙げられます。
こう聞くと「マイナス・サム」の運用は賭博的なイメージから、リスクが非常に高く敬遠されがちなものと思われることでしょう。しかし、実際はかなり多くの方がマイナス・サムでの資産形成を夢見ています。
そんなバカな。
そう思われるかもしれませんが、実は日本国民の多くが購入している「宝くじ」。これはマイナス・サム・ゲームです。そして、宝くじに当たったことがない人の方が多いことを考えればわかる通り、マイナス・サムは非常にリスクが高い運用です。
次にゼロ・サム。具体的にはFXや仲間内の賭けごとなどが挙げられます。厳密に言えば、FXはFX会社の手数料があるので若干マイナス・サムですが、一般的にはFXは分類上「ゼロ・サム」です。還元率は100%なのが特徴で、短期に大きく利益を出す方が多いことで有名です。
そしてプラス・サム。資産運用としては懸賞や買い物に伴うポイント、株式投資などが挙げられます。
株式投資に関しては様々な意見がありますが、前段でもお話しした通り、世界経済は成長を続けていて、今後も成長し続けると考えられています。そのため、株式投資は一般的には「プラス・サム」であり、世界経済が成長し続ける以上、株式投資は中長期的に見れば勝つ確率が相対的に高いと言えるでしょう。
もちろん、そんな株式投資にも注意点があります。世の中にはマイナス成長の市場もあり、そういった市場に投資をしても、リターンを得られる確率が低いことです。したがって、いかに成長市場に投資できるか。それが重要になります。
いずれにせよ、こうした理由から資産運用を考えるなら、ゼロ・サムかプラス・サムが現実的と言えるでしょう。
プラス・サムの投資と、ゼロ・サムの投機。そのどちらが良い・悪いはありません。投資か、投機か。それは何を目的とし、何を目指すかによって答えが変わるからです。つまり投資と投機には、それぞれメリット・デメリットがあるのです。
投資は安定感があります。着実に資産を増やすことが可能。それが投資のメリットでしょう。一方、投資のデメリットが時間がかかること。しかし、投機は短期的に収益を大きくすることができますが、リスクが高いのがデメリットです。
今、自分はどのような状況にあり、どう資産を運用すべきなのか。大切なのは、目的と目指すものに応じて、2つをどう使い分けるかです。
インベスターズビレッジは主に「投資」と「ビジネス」(経営・M&A)に的を絞って取り上げています。また、様々な分野への投資の知識と実際の流れをカリキュラム+テキストに加えて、実践でも学ぶことを大切にしています。
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