2020.12.28
REIT(リート)は「不動産投資信託」と呼ばれる金融商品です。
多くの投資家から集めた資金を元手に、オフィスビルを始め商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸料収入や売買益を投資家に分配する投資商品です。投資信託のような形式で不動産に投資を行いますが、法律上は投資信託の仲間で、不動産のプロによる運用の成果を享受することができます。
REITは世界中にあって、日本のREITはJ-REITと呼ばれています。
そんなJ-REITにはどんなメリットがあって、どんなリスクがるのでしょう。
今回のテーマは「J-REITのメリット・リスク」。
REITのメリットやリスクをお話しする前に、まずはREITの仕組みについて解説します。
J-REITは法律に基づき、「不動産投資法人」という企業のような形態をとっています。そして、株式会社の株式に相当する「投資証券」を発行し、J-REITに投資する投資家はこの投資証券を購入します。
J-REITは投資家から預かった資金をもとに、不動産などに投資して、購入した物件の賃料収入、あるいは物件の売買により得られた収益を投資家に分配します。
また、J-REITは金融機関から融資を受けることもあれば、株式会社の社債に相当する「投資法人債」を発行して資金調達を行うこともあります。
さらに、J-REITには意思決定をするための「役員会」が設置されています。その役員会は株式会社の株主総会に相当する「投資主総会」により選任されます。ただ、J-REITは法律によって運用などの実質的な業務を行うことが禁止されています。したがって、資産運用の業務は「運用会社」に、資産保管の業務は「資産保管会社」に、一般事務は「事務受託会社」にそれぞれ委託されています。
●運用会社の役割
運用会社は投資する不動産の選定、および、不動産の賃貸条件などの戦略を決定します。また、不動産の価値を維持するために修繕計画を立案し、実行。さらに、財務戦略を立案し、必要な資金調達を行います。
●資産保管会社の役割
保有している不動産などの資産を管理します。通常、信託銀行が資産保管会社になります。
●事務受託会社の役割
会計事務、納税事務、投資法人債に関する事務などを担当する会社ですが、それぞれの業務ごとに専門の会社が選ばれます。
不動産は株式や債券などと比較した際、流動性は低く、取引価格も不透明な傾向にあります。そのため、不動産へ投資を行うファンドは、投資家の解約のたびに投資先不動産の売却、あるいは購入は困難です。
こうした事情から、J-REITは解約に応じない「クローズドエンド型」という仕組みを採用しています。クローズドエンドとは、投資信託の分類のひとつです。当該ファンドが組み入れ資産の時価に基づく純資産価格での買い戻しや解約を、原則、認めていないものです。
ただし、J-REITは証券取引所に上場し、市場で売買を行うことを可能にしています。そうすることで、J-REITは流動性を確保しています。
REITへの投資には、不労所得が期待できます。しかし、投資であるからこそリスクもあります。
この章ではREITの主なデメリットを4つ「元本割れのリスク」「値上がり益は期待できない」「複利効果が得られない」「地震の悪影響を受ける」を解説します。
元本割れのリスクはREITに限らず、投資全般に当てはまります。REITうんぬんの前に、投資は必ず元本割れのリスクがあることは理解しておくべきでしょう。
REITはそれ自体の価格が大きく値上がりすることはあまり期待できない金融商品です。利益のほとんどは分配金で、利回りは4パーセントから6パーセントほどです。そのため、値上がり益がメインの株式投資と比較すれば利回りが低い傾向にあります。
複利効果とは、利益を再投資して元本を増やし、さらなる利益を生み出す効果です。つまり雪だるま式にお金を増やす方法ですから、できることなら活かしたいところです。が、REITは利益が出れば分配金として投資家に分配しますから、複利効果が働きません。
REITで複利効果を活かすためには、分配金で再びREITを買う必要があります。
REITは現物の不動産を運用するため、自然災害に弱い特徴があります。特に日本は自身大国です。海外REITよりも地震で建物が損壊するリスクは高く、これはJ-REITならではのデメリットです。
もちろん、火災保険や地震保険によって建物への損害は補償されますが、倒壊するなど人が住めない状態になってしまった場合、建て直して新しい人が入居するまで賃料の収入が得られません。
REITにはいくつかのデメリットがありますが、当然その反面、メリットもあります。
この章ではREITのメリットについて解説します。
REITの最大の魅力は、分配金利回りが高い点です。目安はおよそ4パーセントから6パーセントほど。株式投資は値上がり益こそ期待できますが、配当利回りは1パーセントから3パーセントほど。REITがいかに不労所得が大きいかがわかります。
ちなみに、利回りが4~6パーセントなら、100万円の投資で1年あたり4万円から6万円の分配金を得ることが可能です。
REITは不動産投資という一面を持ちながらも、投資信託の流動性を併せ持ちます。また、取引所に上場されていれば株式と同様に売買できるので、流動性が高く換金も簡単に行うことができます。
さらに、実際の所有不動産の場合は、売買の相手を見つけるところから条件の交渉まで、全てを行わなくてはなりません。しかし、REITの運用は不動産のプロが担うため運用の手間は不要。さらに様々な用途の不動産(REIT)への分散投資も可能な点は魅力です。
REITは株式や債券と相関しにくい特徴があって、一般的に株式や債券の価格が下がるとREITは上がり、株式や債券が上がるとREITは下がるという関係にあります。
そのため、すでに株式や債券となどの金融資産を保有する投資家にとっては分散投資先として活用できます。
が、この特徴がいつまで続くかは不明なため、常にアンテナを張って情報収集することが大切です。
REITには様々な魅力がありますが、投資にはいくつもの種類があります。
インベスターズビレッジでは主に「投資」と「ビジネス」(経営・M&A)に的を絞って取り上げています。また、様々な分野への投資の知識と実際の流れをカリキュラム+テキストに加えて、実践でも学ぶことを大切にしています。
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